法定後見制度とは

 法定後見制度とは、精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により、 判断の能力が低下した人のために、家庭裁判所が本人の判断能力の程度に応じて、後見開始、 保佐開始又は補助開始の審判を行うとともに、本人を援助する者である成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)を選任し、 本人を保護する制度です。

 

 よって、法定後見制度は、本人の判断能力の程度により、後見、保佐、補助に分けることができます。

  1. 後見
    精神上の障害により、判断能力が欠けているのが通常の状態にある方を保護、支援するために、本人に後見人を付ける制度です。 本人が自ら行った本人に不利益な法律行為を、日常生活に関するものを除いて、本人や、成年後見人が取り消すことができます。 また、成年後見人は、本人の財産を管理し、その財産に関する全ての法律行為を、本人の利益を考えながら代理することになります。
  2. 保佐
    精神上の障害により、判断能力が著しく不十分な方を保護、支援するために、本人に保佐人を付ける制度です。 本人が保佐人の同意を得ずに行った、法律で定められた一定の法律行為については、本人や、保佐人が取り消すことができます。 この一定の法律行為の範囲は、広げることもできます。 また、家庭裁判所は、申立権者の申立てにより、一定の法律行為について、代理権を与えることができます。
  3. 補助
    精神上の障害により、判断の能力が不十分な方を保護、支援するために、本人に補助人を付ける制度です。 補助人には、申立権者の申立てにより、特定の法律行為(法律で定められた一定の法律行為の中から選ぶ)について、同意権、取消権、代理権が付与されます。

 法律で定められた一定の法律行為とは

 全部で9つになります。(民法13条1項各号)

  1. 利息や賃料等を生み出す財産を受領し、又はまたはその財産を貸したりすることにより利用する行為を行うこと
  2. 借金をしたり、保証人になること。
  3. 不動産その他重要な財産に関する権利について、売買するなどこれを取得したり手放したりすることになる行為を行うこと。
  4. 原告として訴訟行為を行うこと。
  5. 贈与、和解または仲裁契約を結ぶこと。
  6. 相続を承認したり放棄すること、または遺産分割の協議を行うこと。
  7. 贈与の申し出あるいは遺贈を断り、または負担付きの贈与あるいは遺贈を受けること。
  8. 新築、改築、増築または大修繕を行うこと。
  9. 建物については3年、土地については5年を超える期間の賃貸借契約をすること。

 申立権者とは

本人、配偶者、4親等内の親族、検察官、市区町村長など。